超音波を使用した金型洗浄における洗浄液の寿命

2019.11.02

基本的に未開封の洗浄液に対して、各社メーカーの保証期限は約1年程度になります。

また一度開封してしまうと、対流している空気に触れる事から徐々に洗浄力の劣化につながっていきます。

さて一番よくお客様からご質問がある内容としましては、「洗浄液はどのくらいまでもつの?」「洗浄液の交換タイミングは?」など洗浄液の寿命についてです。

こればかりは「いついつが交換時期です!」とは非常に答えにくい質問です。

販売する側としましては交換頻度が高い方が有益なため、「1ヶ月に1回交換してください。」と言いたいところですが、実際の使用頻度や洗浄するワークの汚れ具合(油汚れ・ガス汚れ・離型剤汚れ・樹脂カス)によって洗浄液の寿命は大きく変わってきます。

正直、洗浄機で洗浄する前に、洗浄対象物の金型を1度脱脂スプレーなどで軽く吹き付けて油をとるだけで洗浄液の寿命は長くなります。

またスプレー等使用せず、ウエスなんかである程度汚れを拭い取るだけでもOKです。

ただこのような作業を行う際にふと頭に思い浮かぶ事として「どうせ洗浄機で洗浄するのだから面倒な作業・余計な作業はやりたくないな。」だと思います。

確かにせっかく機械で洗うのにその前に手作業をするなんて効率が悪いかもしれません。

ただしその効率悪い作業が洗浄液の寿命を延ばしているのも事実です。

ここまでの結論としましては、洗浄液の寿命を重視して延ばすのであれば前洗浄を、工数を減らして楽に作業を行うのであればいきなり洗浄機でワークを洗浄するといった事になります。

他には洗浄液の寿命を延ばそうとして、洗浄液が減っていたら新品の洗浄液を少しずつ継ぎ足しながら洗浄を行っている方もいらっしゃると思います。

逆にドロドロに汚れた洗浄液を一気に全交換する方もいらっしゃいます。

どちらの方が寿命が長くできるかは非常に難しい判断になりますが、ご使用中の機械に対しては洗浄液を1回で全交換された方が宜しいかと思います。

一番の大きな理由としましては、超音波洗浄などで洗浄を行っておりますと洗浄液内の水分が蒸発していき、その蒸発分に対して新たに原液となる洗浄液を注ぎ足していくと、非常に濃度の高い洗浄液が出来てしまいます。

そして濃度の高い洗浄液が限界までいきますと、水に溶けきれない成分が洗浄液内でできてしまい、この溶けきれない成分が固形化され洗浄機の配管や循環ポンプ等を詰まらせて故障につながる原因となります。

そのような可能性があるため、洗浄液は継ぎ足しより全交換された方が良い言えます。

さて洗浄液の寿命に関しての話に戻しますと、一般的に交換目安を測定するために比重計・濃度計・pH計等が使用されております。

ただ、このような器具で測定しても洗浄液の交換目安を確定させることは非常に難しいのが実状です。

一番わかりやすい交換時期の判別方法としては、前回洗浄液を交換した日にちから今回交換する日にちを計算し交換目安とすることです。

またその交換タイミングに関しても、従来の洗浄時間で汚れが取れなくなってきたら交換という形が理想でしょう。

目安さえ決めてしまえば、多少日程の誤差が出ても支障はないと思います。

 

以上、洗浄の寿命に関してでした。